3月は日ごとの寒暖差が激しく、年度末による環境の変化も重なりやすい時期です。就労継続支援A型事業所で働く皆さんも「朝起きるのがつらい」「体がだるい」といった「春バテ」のような症状を感じていませんか。こうした不調は決して甘えではなく、自律神経の乱れが原因かもしれません。本記事では、安定して働き続けるために、自分の体調の変化に気づき、適切に対処するためのポイントを分かりやすく解説します。
3月の寒暖差が自律神経に与える影響と春バテの正体
3月ごろは、暖かい日と寒い日が入れ替わりやすい時期です。「三寒四温」は本来、中国東北部や朝鮮半島北部の冬の気候を指す言葉ですが、日本では寒暖差が目立つ春先の気温変化を表す言い方として使われることが多いです。こうした気温の変化が続くと、体温調節のために体が対応し続けるため、疲れやだるさを感じやすくなることがあります。
その調節を担っているのが自律神経です。寒暖差が大きい日が続くと、自律神経に負担がかかり、バランスが乱れやすくなります。これが、この時期特有のだるさや疲れやすさ、いわゆる「春バテ」と呼ばれる不調につながる一因になると考えられています。
自律神経には、体を活動モードにする交感神経と、リラックスモードにする副交感神経の2種類があります。春先は低気圧と高気圧が入れ替わりやすく、気圧の変化も重なりやすいため、この2つのバランスが崩れやすくなることがあります。
特にA型事業所での業務に取り組む時期に、集中力が続きにくい、イライラしやすいといった変化を感じる場合は、気候変化による体調への影響も考えられます。自分の意思だけの問題と決めつけず、体が疲れやすい時期であることを理解しておきましょう。
- 寒暖差は、一般向けの健康情報では「7℃以上」が一つの目安として紹介されることがありますが、感じ方には個人差があります。
- 気圧の変化によって自律神経のバランスが乱れると、眠気やだるさなどの不調が出やすくなることがあります。
- 環境の変化に対する不安感や緊張も、自律神経への負担を強める要因になることがあります。
~自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」で構成されています。この2つは自動車でいうと「アクセル(交感神経)」と「ブレーキ(副交感神経)」のような関係です。アクセルである交感神経が活発になるのは昼間や緊張している時。心身共にアクティブになり、血管が収縮して血圧が上昇、呼吸が早くなり「活動(緊張)モード」に向かいます。これに対して、ブレーキである副交感神経は、リラックスしている時や夜間に活発になります。血圧が下がり呼吸も遅くなり、体が「休息(リラックス)モード」になるのです。この2つの神経は、1日のリズムに合わせて交互に活発になります。~
事業所でおすすめしている朝のルーティンでリズムを整える
自律神経を整えるために取り入れやすい方法の一つが、朝の過ごし方です。A型事業所への通所前に、簡単なルーティンを取り入れることで、体を動かす準備を整えやすくなります。
特に取り入れやすいのは、起床後から午前中にかけて明るい光を浴びることです。朝の光は体内時計の調整に関わるとされ、生活リズムを整える助けになります。これにより、就寝や起床のリズムも整えやすくなり、良いサイクルにつながりやすくなります。
また、朝食を無理のない範囲で摂ることも、生活のリズムを作る一つのきっかけになります。よく噛んで食べることを意識すると、食事の時間を丁寧に取りやすくなります。朝は水分補給も大切なので、冷たい飲み物がつらい人は白湯などの温かい飲み物を選ぶと、無理なく続けやすいでしょう。食事制限や服薬の関係がある場合は、主治医の指示を優先しましょう。
忙しい朝に完璧を目指す必要はありません。ほんの数分の習慣でも、事業所での午前中の過ごしやすさが変わることがあります。
- 朝起きたらカーテンを開け、数分でもよいので無理のない範囲で明るい光を浴びる習慣をつけましょう。
- コップ一杯の水分(白湯などでも構いません)をとり、寝ている間に不足しがちな水分を補いましょう。
- 通所前に軽いストレッチを行うと、体を動かしやすい状態に切り替えやすくなります。
朝のルーティンは義務にせず、自分に合った心地よい習慣を見つけることが継続のコツです。どうしても動けない朝は、深呼吸を数回するだけでも構いません。
少しずつ「自分なりのスイッチ」を作っていくことで、3月の不安定な気候の中でも生活リズムを整えやすくしていきましょう。
無理せず継続するための相談しやすい環境づくり
体調不良を感じた時、A型事業所で働く皆さんが不安に思いやすいのは「欠勤したらどうしよう」「迷惑をかけてしまう」ということではないでしょうか。就労継続支援の現場では、安定した就労は大切な目標の一つです。
無理をして症状を悪化させるよりも、早い段階で不調を相談し、作業内容や休憩の取り方について調整することの方が、結果として長く働き続けることにつながりやすくなります。「なんとなく体が重い」という主観的な感覚であっても、遠慮せずにスタッフへ伝えてみてください。
A型事業所では、サービス管理責任者や生活支援員、職業指導員、管理者などの職員を配置することが定められています。相談をすることで、作業内容の見直しや休憩の取り方の調整など、負担を軽くする工夫につながる場合があります。
一人で抱え込まず、周囲に頼ることも立派な仕事のスキルです。相談しやすい環境を作るためには、日頃から挨拶程度のコミュニケーションを意識しておくと安心です。
また、自分の体調を見える化して伝えるのも有効です。以下の表のように、自分の状態を点数化したり、言葉で整理したりしておくと、スタッフも具体的なサポートを行いやすくなります。
| 状態レベル | 体調の目安 | おすすめのアクション |
|---|---|---|
| レベル1(良好) | 朝から活動的で不安も少ない | そのままのペースで業務に取り組む |
| レベル2(注意) | 体が重く、少し集中しにくい | スタッフに「今日は控えめにしたい」と伝える |
| レベル3(不調) | 吐き気や強い疲労感がある | 休憩の延長や早退・休養について相談する |
集中力が途切れた時のリフレッシュ法とリラックス術
事業所での作業中、どうしても集中力が切れてしまったり、体が固まったりすることはありませんか。3月の不調時は特に、こまめなリフレッシュが役に立つことがあります。まずは、短時間でできるセルフケアを試してみてください。
耳まわりをやさしく触れる方法は、気分転換のきっかけとして紹介されることがありますが、短時間で確実に効果が出るかははっきりしません。痛みが出ない範囲で、耳たぶを軽くつまんでゆっくり離す、耳の外側をそっとさする程度にとどめましょう。あわせて、呼吸を整える方法も取り入れやすいです。
緊張している時は、無意識に呼吸が浅くなりがちです。鼻からゆっくり吸って、口から細く長く吐き出すようにすると、落ち着きやすくなることがあります。呼吸の秒数は人によってやりやすさが違うため、4秒吸って8秒吐く方法は一例として、苦しくない範囲で行いましょう。めまい、息苦しさ、気分不良が出た場合は中止してください。
座ったままでもできる小さなセルフケアをいくつか持っておくと、作業中の不安感を和らげやすくなります。
- 耳たぶを軽くつまんで離すなど、心地よい範囲の刺激で気分転換をしてみましょう。
- 4秒吸って8秒吐くなどの「ゆっくり呼吸」を、無理のない範囲で試してみましょう。
- 手をグーパーしたり、肩を上げ下げしたりして、筋肉の緊張をほぐしましょう。
リフレッシュは「疲れてから」ではなく「疲れる前」に行うほうが取り入れやすいです。A型事業所では休憩時間の取り方やルールが事業所ごとに異なるため、その範囲でうまく活用しましょう。
休日の過ごし方を見直して次の週に備える
3月を乗り切るためには、休日の過ごし方もポイントです。平日の疲れを解消しようと、休日に寝だめをしてしまう方も多いですが、長時間の寝だめや生活リズムの大きなズレは、かえって月曜日の不調につながることがあります。
起床時間が平日と大きくズレると、体内時計がさらに乱れ、月曜日の朝がよりつらく感じやすくなるからです。休日は適度な休養を心がけつつも、朝起きる時間だけは平日と大きく変えないことが、自律神経の負担を減らすコツです。
また、何もしないことへの罪悪感を減らすことも大切です。年度末の忙しい雰囲気に流され、「休日は充実させなければ」と予定を詰め込みすぎると、回復が追いつきにくくなります。
家でぼーっとしたり、好きな音楽を聴いたりする時間は、立派なメンテナンスの時間です。自分が本当にリラックスできる過ごし方を優先し、心と体のバッテリーを充電することに意識を向けましょう。
- 休日の寝坊は、平日との差を広げすぎないようにし、目安として1〜2時間以内を意識するとリズムを保ちやすくなります。
- 疲れが強い日は、買い物や外出は短時間に抑え、家で過ごす時間を少し長めに確保しましょう。
- 就寝1〜2時間前を目安に、ぬるめから適温のお風呂にゆっくり浸かって体を温めると、眠りに入りやすくなることがあります。
まとめ
3月特有の「なんとなく重い体」は、季節が巡る中で頑張っている自分からの大切なサインです。セルフケアは決して難しいことではなく、朝の光を浴びたりスタッフへ体調を共有したりといった小さな一歩の積み重ねから始まります。
完璧を目指して走り続けるよりも、今は自分のリズムを調整する「自分への優しさ」を持つことを強くおすすめします。無理のない範囲で一歩ずつ進み、健やかな春を迎えましょう。
あとがき
冬から春へと移り変わる3月は、景色が華やぐ一方で、心身には大きな試練が訪れる時期でもあります。この記事を通じて、日々の「だるさ」を個人の責任ではなく、季節の仕組みとして捉え直すきっかけになれば幸いです。
A型事業所という支え合いの場で自分をいたわる術を身につけることは、将来にわたる大きな財産となります。焦らず、一歩ずつ、春の光を味方につけて進んでいくあなたを、心から応援しています。


コメント