「冬になると布団から出られない」「甘いものが止まらず体重が増える」と、自分を責めていませんか。こうした変化は、怠けではなく「冬眠モード」のサインといわれることもあります。その陰には、「季節性情動障害(SAD)」など、冬になると出やすい心の不調が隠れている場合もあります。この記事では、熊のような「冬眠モード度」をゆるくセルフチェックしながら、気持ちと体を少し軽くする冬の習慣のヒントを紹介します。辛い季節を少しでもラクに過ごせるように、まずは自分のリズムを一緒に見直していきましょう。
冬になると「動けない・止まらない食欲」…それって冬眠モードかも?
冬の不調は怠けではありません。まずはその正体を知り、心と体を守るための準備をここから始めましょう。
自分を責めないで!冬特有の不調「季節性情動障害(SAD)」とは
冬になると、なぜかやる気が出ない、朝起きられない、体が重いといった症状を感じることはありませんか。「自分はなんて怠け者なんだろう」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
その不調は、あなたの性格や気合の問題ではありません。こうした季節と結びついた気分の落ち込みの一部には、「季節性情動障害(SAD)」と呼ばれる季節に影響を受けるタイプのうつ病が関わっている場合もあります。
はっきりした原因はまだ分かっていませんが、冬に日照時間が短くなることで体内時計や脳内の神経伝達物質の働きが変化し、気分や睡眠リズムに影響すると考えられています。
動物の冬ごもりになぞらえて、「冬になると冬眠しているような状態」と説明されることもあります。これは「体の自然な反応なんだ」と受けとめておくと、少し気持ちがラクになるでしょう。
一般的なうつとの違いは「過眠」と「過食」
「うつ」と聞くと、眠れなくなったり、食欲が落ちたりするイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、冬の「季節性情動障害(SAD)」には逆の特徴があるといえます。
代表的な特徴が「過眠」と「過食」です。いくら寝ても眠気が取れず、休日にはお昼過ぎまで布団から出られない日が続くことがあります。また、甘いお菓子やパン、麺類などをつい食べ過ぎて、体重が増えやすくなることもよく見られます。
これは、冬の厳しい環境を乗り越えるためにエネルギーを蓄えようとする、生物としての防衛本能が強く働いているためと考えられています。
一般的なうつ病とは異なる「冬モード」のサインを知っておくと、今の自分の状態を少し落ち着いて振り返りやすくなります。
あなたは熊タイプ?「冬眠モード度」セルフチェック
自分の状態を客観的に知ることが対策の第一歩です。5つのサインで、あなたの今の冬眠モード度を確認しましょう。
「季節性情動障害(SAD)」の可能性がある5つのサイン
今の状態が、単なる疲れなのか、それとも「季節性情動障害(SAD)」の傾向があるのかを、まずは簡単に見てみましょう。次の5つの項目のうち、いくつ当てはまるか数えてみてください。
- 毎年、秋から冬にかけて決まって調子が悪くなります。
- しっかり寝ているはずなのに、昼間も眠くてたまらない(過眠)の状態が続きます。
- ご飯やパン、甘いお菓子など、炭水化物ばかり食べたくなることが多くなります。
- 冬になると体重が増えやすくなります。
- 人と会うのが重たく感じて、家にこもりがちになります。
これらは、「季節性情動障害(SAD)」の症状でよく挙げられる代表的なサインです。
いくつも当てはまるときは、冬になると気分や生活リズムが大きく揺れやすい状態だと受けとめて、一人で抱え込まずに、生活の工夫や相談先を考えてみてください。
なぜ冬はメンタルも体重も重くなる?身体のメカニズム
冬の不調には理由があります。ここでは「気分」「睡眠リズム」「食欲と体重」の3つのポイントから整理します。
日照不足で「セロトニン」が減りやすくなる
冬の不調に深く関わるのが、日照時間の減少です。私たちのメンタルを安定させる脳内物質「セロトニン」は、目から入る光の刺激に影響を受けると考えられています。
日が短くなり、日差しも弱くなる冬は、どうしても「セロトニン」が作られにくくなります。その結果、気分の落ち込みや不安、集中しにくさなどを感じやすくなるといわれています。
体内時計のズレで「時差ボケ」状態に
冬の朝、なかなか起きられないときは、体内時計のズレも影響していると考えられています。私たちの体は、朝の光を浴びることで「今は朝」と認識し、体内時計を毎日リセットしています。
ところが冬は日の出が遅く、朝も薄暗い日が多いため、このリセットがうまくいきません。すると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が切り替わるタイミングが遅れ、午前中まで眠気が残りやすくなります。
夜になっても眠くならず、寝る時間が遅くなっていくという悪循環が重なると、体は毎日「軽い時差ボケ」のような状態で過ごしていることになります。
甘いものが増えて体重が増えやすくなる理由
冬になると、チョコレートや菓子パン、麺類などをいつもより食べたくなる人も多くなります。これは単に「食いしん坊だから」ではなく、気分を安定させるための体の反応と考えられています。
「セロトニン」の材料になるアミノ酸「トリプトファン」は、炭水化物(糖質)をとってインスリンが出ることで、脳に届きやすくなるという性質があります。そのため、「セロトニン」が不足しがちな冬は、甘いものやパンを強く欲しやすくなります。
気分の落ち込みやだるさで活動量が減ると、摂取カロリーが増えているのに消費カロリーは減る、という状態になりやすくなります。結果として体重が増えやすくなるのは、体と脳のしくみが重なって起こる現象といえます。
~概日リズム(サーカディアンリズム)とよばれる体内時計のリズムは、視交叉上核のメラトニンというホルモンによって調整されます。その刺激を受けて、睡眠と覚醒のリズムが作られていくことが分かってきました。脳内の神経伝達物質であるセロトニンも日中を中心に分泌され覚醒に関係しており、体内時計のリズムにも関係しているといわれています。~
メンタル不調を和らげる!「冬の運動」が効く理由
辛い冬こそ体を動かすことが特効薬になります。脳を活性化させ、心を軽くする運動の効果について見ていきましょう。
薬に頼る前に試したい「リズム運動」の抗うつ効果
落ち込んだ気分を回復させるには、一定のリズムを刻む運動が効果的です。ウォーキングやジョギング、ダンスなどの「リズム運動」を行うと、「セロトニン」を作る神経が活性化します。
脳の深い部分にある「セロトニン」は、筋肉の一定のリズム収縮によって刺激を受ける性質があります。特別なスポーツでなくても構いません。
ガムを噛むといった「咀嚼(そしゃく)」もリズム運動の一つです。薬を飲むほどではないけれどつらいときは、こうした簡単なリズム運動から少しずつ始めてみてください。
「週に1時間」でOK?ハードルを下げて継続するコツ
「運動が良い」と分かっていても、体が重い冬にはハードルが高く感じますよね。でも、安心してください。毎日走る必要はありません。
週に1時間なら、週末にまとめて1時間散歩するだけでもクリアできます。平日に1日10分ずつ歩くのでも構いません。
「これならできる」と思えるレベルまでハードルを下げて、細く長く続けることが大切といえるでしょう。
有酸素運動・筋トレ・ヨガ…どれが「季節性情動障害(SAD)」に効果的?
運動にはいろいろな種類がありますが、「季節性情動障害(SAD)」対策として最もおすすめなのは「有酸素運動」です。特に、ウォーキングなどの外で行う運動がベストといえます。
理由はシンプルで、運動による「セロトニン」活性効果と、日光を浴びる効果の両方を同時に得られるからです。
筋トレやヨガもメンタルヘルスには良いですが、「季節性情動障害(SAD)」の根本原因である「日照不足」を補うには、やはり外に出ることが一番の近道です。
まずは「外の空気を吸いながら歩く」ことを選択肢にしてみたらいかがでしょう。例えば、「朝の散歩」など、ライフスタイルに合わせて、無理のない方法を組み合わせてみてください。
まとめ
冬に調子が悪くなるのは、決してあなたの心が弱いからではありません。厳しい冬を乗り越えようとする、体の正常な防衛本能といえます。
「今は冬眠モードなんだな」と自分の状態を受け入れて、自分自身をいたわってあげてください。
天気の良い日にカーテンを開けてみる、そんな小さな行動から始めてみてはいかがでしょうか。焦らずゆっくり、心と体を温めながら、春の訪れを待ちましょう。
あとがき
私は昔から、冬になると何もやる気がおきず、気分が沈んでしまい、ひきこもりがちになることがよくあります。自分自身に罪悪感を感じながらもどうにもできません。
でも、この記事を作成する中で「これは冬眠モードという体の仕組みなんだ」と知り、救われたような気持ちになりました。
そして、晴れた朝に思い切って近所を少しだけ散歩してみました。太陽の光がからだにしみわたり、とても心地良い気分になりました。
「今は冬眠中だから仕方ない、今はこれでいいんだ」と割り切ることで心はずっと軽くなります。みなさんも無理をせず、晴れた日は少しだけ外の空気を吸ってみてくださいね。

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