隠れ貧血が招く 甲状腺と動脈硬化のリスク

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「何となくいつもだるい」「疲れやすい」「眠気がひどい」といった日常的な不調は、単なる寝不足やストレスだけでなく、体内の鉄不足から生じている可能性があります。鉄欠乏性貧血、あるいは潜在的な鉄欠乏状態は、甲状腺の機能低下やうつ病、さらには動脈硬化などの様々な病気を引き起こす「万病の引き金」となり得ます。本記事では、鉄が不足することで全身に及ぶ深刻な影響と、特に女性に関わりの深い子宮の病気との相互作用について、医学的な知見を基に詳しく解説します。

疲れや眠気の正体 隠れ貧血が引き起こす不調

鉄欠乏性貧血の代表的な症状は、酸素の運搬が滞ることによる全身の酸欠状態が原因で起こります。「貧血」というと顔色が悪くなることを想像しがちですが、日常生活における見過ごされやすい不調が、実は鉄不足のサインかもしれません。

慢性的な倦怠感と精神的な不調

日常的な「だるさ」や「眠気」「疲れやすい」といった倦怠感は、鉄欠乏性貧血の最も一般的な症状です。

酸素が不足すると、体はエネルギーを効率的に生み出せなくなり、常に疲労感が伴います。

また、鉄は脳内の神経伝達物質の生成に深く関わっており、不足すると気分の落ち込みや不安感の増加、集中力の低下といった精神的な不調が現れることが指摘されています。

特に、快感や意欲に関わるドーパミンの生成には鉄分が必要であり、鉄不足うつ症状に繋がる可能性があります。

貧血の診断がなくても進行する危険性

ヘモグロビン値が正常であっても、体内の貯蔵鉄(フェリチン)が低下している「潜在的鉄欠乏」の状態はかなりの高頻度で見られます。

この状態でも、疲れやすさや冷え、精神的な不調が現れることが分かっています。

血液検査でヘモグロビン値だけでなく、フェリチン値を確認し、潜在的な鉄欠乏を早期にチェックすることが大切です。

特に、10~50歳前半の女性は、月経による出血で鉄が不足しやすいため注意が必要です。

鉄欠乏が引き起こす主な不調

  • 慢性的な疲れや強い倦怠感。
  • めまいや立ちくらみ、顔面蒼白。
  • 気分の落ち込み、不安感、うつ症状。
  • 集中力の低下、思考の鈍化、眠気。

これらの症状は、単なるストレスと見過ごされがちですが、鉄不足を解消することで劇的に改善する可能性があります。

子宮の病気と甲状腺 鉄を介した負の連鎖

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鉄の不足は、子宮や甲状腺などの女性の体に重要な臓器の機能に影響を与え、体の不調を引き起こす負の連鎖を生むことがあります。

過多月経を招く子宮と甲状腺の相互作用

女性の鉄欠乏の大きな原因の一つは、月経による出血です。

特に子宮筋腫や子宮内膜症などの子宮の病気がある場合は、過多月経となり、鉄欠乏が急速に進行する可能性があります。

さらに、甲状腺ホルモンの働きが低下すると、子宮内膜が増殖して生理の出血量が増えてしまいます。

この状態は、さらなる鉄欠乏を招く悪循環となり得ます。

鉄不足が引き起こす甲状腺ホルモンの低下

鉄は、甲状腺ホルモンを作る際に必要な酵素の活性部位に必須な微量元素です。

鉄が不足すれば、甲状腺ホルモンを合成する働きが落ちる可能性があり、その結果、甲状腺機能低下症を引き起こす可能性が示唆されています。

甲状腺機能低下症と鉄欠乏性貧血が同時にある人は、寒がり・むくみ・薄毛・疲れやすいなどの共通症状が現れることが多く、どちらも同時に治療を行うことが重要です。

子宮と甲状腺の相互作用

  • 子宮筋腫などの病気は過多月経を引き起こし、鉄欠乏の大きな原因となる。
  • 甲状腺ホルモンの低下は月経過多を助長し、さらなる鉄欠乏を招く悪循環。
  • 鉄は甲状腺ホルモンの合成に必須であり、鉄不足は甲状腺機能低下を引き起こす可能性がある。

体の不調の根本に鉄欠乏が隠れていることを理解し、特に女性は月経の状態と甲状腺の検査を含めて全身をチェックすることが大切です。

動脈硬化や心臓への影響 見過ごせないリスク

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鉄欠乏性貧血は、心臓や血管にも負担をかけ、動脈硬化心臓疾患などの重い病気のリスクを高める可能性があります。「たかが貧血」と見過ごすことは危険です。

心臓にかかる過剰な負荷

貧血により体内で酸素が不足すると、心臓は不足した酸素を補うため、より多くの血液を全身に送り出そうとします。

その結果、心拍出量が増加し、心臓に過剰な負荷がかかります。

頻脈や動悸が出現するのもこのためです。

慢性的に心臓へ負荷がかかることは、高拍出量性心不全や心房細動などの不整脈を増悪させる可能性があるということです。

血管の病気を助長するリスク

さらに、冠動脈硬化がある場合、貧血による酸素供給の低下が狭心症の症状を出現しやすくします。

鉄欠乏性貧血は、直接的に動脈硬化を引き起こすわけではありませんが、血管にすでに存在する病変の症状を悪化させたり、心臓への負担を増やすことで間接的に心血管系の病気を助長する可能性があります。

鉄欠乏性貧血は、心血管系への負荷を増大させます。

甲状腺機能亢進症における鉄欠乏性貧血は、心血管系に対して更なる負荷を掛け、高拍出量性心不全や心房細動(Af)などの不整脈を増悪させる可能性があります。

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甲状腺機能亢進症と貧血が合併する場合は、特に心臓への負荷が増大するため、両方の治療を並行して行うことが極めて重要です。

病を見つけるための検査と治療の重要性

鉄欠乏性貧血は、体の様々な不調の根本原因となり得ます。早期に原因を見つけ、適切な治療を行うことが、体と心の健康を守るために最も大切です。

血液検査でフェリチン値をチェック

貧血の診断がつかなくても、鉄不足の可能性がある場合は、必ず「フェリチン値」を含む血液検査を受けることが推奨されます。

フェリチンは貯蔵鉄の指標であり、この値が低い場合は、体の鉄の貯金が減っている状態を示します。

また甲状腺の不調として、なんとなく元気がない、倦怠感がある、甲状腺が腫れている、などがあるので違和感がある場合、TSH(甲状腺刺激ホルモン)やFT4(甲状腺ホルモン)などの甲状腺機能の検査も同時に行うことが大切です。

鉄剤による治療と生活の改善

鉄欠乏が判明した場合、医師の指導のもと、鉄剤による補充治療を行うことが基本となります。

鉄剤の服用は、体に鉄を貯蔵するため、長期間にわたって継続する必要がある場合があります。

また、食事で鉄を豊富に含む食品(赤身の肉やレバー、貝類など)を積極的に摂取すること、子宮の病気による過多月経の治療を並行して行うことも、鉄欠乏の根本的な改善に繋がる重要な要素です。

早期の検査と治療が鍵

  • ヘモグロビンだけでなく、貯蔵鉄(フェリチン)の値を必ずチェックする。
  • 甲状腺機能の検査(TSH、FT4など)も同時に行う。
  • 医師の指導のもと、鉄剤の服用を長期間継続する。
  • 鉄の吸収を高める食事を意識的に摂取する。

何となく続く不調を見過ごさず、積極的に専門の医療機関を受診することが、様々な重い病気を未然に防ぐための最も大切な行動です。

まとめ

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鉄欠乏性貧血は、単なる貧血ではなく、慢性的な倦怠感や眠気、うつ症状などの精神的な不調、さらには甲状腺機能低下や動脈硬化などの重い病気のリスクを高める可能性があります。

特に女性は、子宮の病気による過多月経と鉄欠乏が悪循環を生むことがあります。

ヘモグロビン値が正常でもフェリチン値が低い「隠れ貧血」の可能性もあるため、不調を感じたら血液検査で貯蔵鉄の値をチェックすることが重要です。

早期の発見と適切な治療により、心身の不調を改善し、重い病気を未然に防ぐことができるため、何となく続く体調不良は専門医への相談を検討してください。

あとがき

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

鉄の 不足が、甲状腺や 子宮の 病気、さらには 動脈硬化などの 様々な 病気のリスクを 高める 負の連鎖を 生むことが 理解いただけた かと思います。
特に 女性は、自覚のない まま鉄が 不足しがちです。鉄分を摂取しているつもりでもカフェインの摂取で栄養を阻害してしまう食品もありますので、食べ物の組み合わせも大切だと私は思います。

単なる 疲れと 決めつけず、ぜひ 一度 血液検査で 「フェリチン値」を 含めた チェックを 行ってみてください。早期の 発見と 適切な 治療が、体と心の 健康を 守るための 最も 大切な 一歩になることを 願っています。

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