A型事業所から目指すひとり暮らし!失敗しない家計管理と生活術

「いつかは自立して、ひとりの時間を楽しみたい」そんな夢を持つA型事業所の利用者さんも多いでしょう。一方で、今の収入で生活できるのか、家事を一人でこなせるのかと不安を感じることもあるはずです。ですが、公的制度を上手に活用すれば、自立への道は現実的な目標になります。本記事では、安心できる生活基盤をつくるために、正しいお金の知識と無理なく続けられる家事のコツをわかりやすく解説します。

まずは手取りを知る!A型事業所の賃金と年金の合計額

ひとり暮らしを計画する際、最初に行うべきは「毎月確実に入るお金」の把握です。就労継続支援A型は利用者と雇用契約を結ぶサービスで、最低賃金法の適用を受けます。ただし、実際の月収は所定労働時間や勤務日数によって変わります。

厚生労働省が公表した令和6年度実績では、A型事業所の平均賃金(月額・額面)は全国平均で91,451円です。なお、ここから社会保険料や税金などが差し引かれるため、手元に残る金額は人によって差があります。手取り額は一律に決まらないため、給与明細の見込みで確認しておくと安心です。

~就労継続支援 A型事業所 (対前年比) 91,451 円 (105.4%)~

厚生労働省 令和6年度工賃(賃金)の実績について

これに加えて大きな柱となるのが障害基礎年金です。日本年金機構の制度ページでは、2級の年金額は生年月日区分や子の加算の有無で変わります。

令和8年度(令和8年4月分以降)については、厚生労働省の年金額改定における国民年金(老齢基礎年金満額)の月額70,608円を基に、2級(昭和31年4月2日以後生まれ・子の加算なし)の目安を月額70,608円として見込めます。

さらに、本人の前年所得が一定以下などの要件を満たす場合は障害年金生活者支援給付金が支給されます。令和8年度の障害年金生活者支援給付金は、2級で月額5,620円です。つまり、2級(子の加算なし)の年金と給付金を合わせると、月々約76,228円が目安になります。

  • A型事業所の平均賃金(月額・額面、令和6年度実績)は91,451円です。
  • 障害基礎年金2級と給付金(2級)の合計目安は約76,228円です。
  • 合計の月間収入例は約151,228円です(A型の手取りを75,000円と仮定した場合)。

合計で約15万円前後の収入になる場合でも、ひとり暮らしが可能かどうかは地域の家賃水準、光熱費、食費、通院費、通信費によって大きく変わります。都市部以外で成り立つケースはありますが、一概に十分とは言い切れません。

まずは年金だけで固定費が払えるかどうかを確認すると、生活設計が立てやすくなります。収入の総額に加えて、変動しやすい賃金部分を分けて考えることで、無理のない住まい探しや生活設計を進めやすくなります。

家賃の負担を減らす!活用すべき公的制度と補助金

家計の中で最も大きな支出となるのが住居費です。一般的に家賃は収入の3分の1以下を目安にすると家計管理がしやすいとされています。ひとり暮らしを目指す障がい者の方が必ずチェックしたいのが、自治体独自の家賃補助制度です。

ただし、家賃補助制度は全国一律ではなく、実施の有無・対象条件・補助額は地域によって大きく異なります。民間アパート入居者を対象にした助成がある自治体もあれば、対象外の自治体もあります。お住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口や住宅担当窓口で、「障がい者向けの家賃助成」や「住宅支援制度」があるかを必ず確認しましょう。

また、賃貸物件を借りる際のハードルを下げるために、「居住支援法人」や相談支援事業所などを活用するのも有効です。居住支援法人は、住宅情報の提供・相談、家賃債務保証の支援、見守りなどを行う場合があり、入居に関する不安の軽減につながります。

さらに、障害者手帳を持っていることで対象になる可能性がある制度として、NHK受信料の免除や、自治体・事業者ごとの料金減免制度があります。

特にNHK受信料は全額免除・半額免除の制度がありますが、世帯の課税状況や障害の区分・等級、世帯主かつ受信契約者かどうかなどの条件があるため、申請前に要件を確認することが大切です。毎月の固定費を見直すことで、家計の安定につながります。

さらに、生活の質を落とさずに支出を減らす工夫として、ガス種別(都市ガスかLPガスか)や料金体系、更新料の有無、共益費、保証料、24時間サポート費などの契約条件を比較して物件を選ぶことも検討しましょう。家賃だけでなく、入居後に毎月かかる費用まで含めて比較することが重要です。

初期費用や家賃負担の相談では、要件に当てはまる場合に住居確保給付金(家賃補助・転居費用補助)を利用できる可能性があります。

一方で、特定障害者特別給付費(補足給付)は主にグループホーム利用者の家賃負担を軽減する制度であり、一般の民間賃貸の初期費用に使う制度として書くのは適切ではありません。

生活保護の住宅扶助基準は家賃の目安として参考になりますが、実際の受給には別途要件があります。制度を知っているかどうかで、毎月の家計のゆとりは大きく変わります。

生活費を管理する!無理のない家計簿と予算の立て方

収入と補助金が把握できたら、次は支出の予算を立てます。家計管理の基本は、支出を固定費変動費に分けて考えることです。固定費には家賃・光熱費・通信費など、変動費には食費・日用品・娯楽費などを入れると整理しやすくなります。

特に光熱費は季節によって増減しやすいため、月ごとの上下に振り回されず、年間平均を意識して予算を組むのがコツです。なお、総務省の家計調査(単身世帯の年平均)では、消費支出の月平均は169,547円、光熱・水道は12,817円でした。

以下の表は、そのような統計を参考にしつつ、A型事業所と年金収入を前提にした節約寄りのモデル例としてまとめています。

ひとり暮らしの月間支出モデル(2026年想定の一例)
項目 目安金額 管理のポイント
家賃(共益費込) 45,000円 補助制度を考慮した実質負担額で考える
食費 35,000円 自炊と冷凍食品を無理なく併用する
水道光熱費 12,000円 季節変動を見込んで積立をする
通信費 5,000円 契約プランや格安SIMを見直し候補にする
日用品・医療費 10,000円 予備費を含めて確保する
娯楽・交際費 15,000円 無理のない範囲で楽しめる額を先に決める

このモデルでは合計約12万2,000円となり、手取り15万円を想定すると月に2万8,000円ほどを貯金に回せる計算です。ただし、実際には通院回数、服薬、地域差、家賃相場によって支出は変わるため、自分の状況に合わせて調整することが大切です。最初から完璧な家計簿を目指す必要はありません。

まずはレシートを箱に入れるだけでも十分です。スマートフォンの家計簿アプリを使う方法でも問題ありません。継続しやすい方法を選び、「何に使いすぎているか」に気づける状態を作ることが大切です。

また、急な出費に備えて、毎月決まった額を別口座に移す先取り貯金もおすすめです。A型事業所の給料日に合わせて自動で移る仕組みを作ると、無理なく貯めやすくなります。

食費については、毎日自炊を目指して頑張りすぎないことも大切です。休日に作り置きをしたり、安くて栄養のある冷凍食品をストックしたりして、体調に合わせて続けられる方法を選ぶことが長続きのコツです。

困った時のつながりを作る!相談先とセーフティネット

どんなに準備をしていても、ひとり暮らしを始めれば予想外の困りごとは起きます。隣人とのトラブル、急な病気、あるいは孤独感によるメンタルの不調など、自分ひとりで解決しにくい問題に直面することもあります。

そんな時のために、入居前から「助けて」と言える場所を複数確保しておくことが、本当の意味での自立生活を支えるセーフティネットになります。

最も頼りになりやすいのは相談支援事業所の担当者です。計画相談支援を利用している場合は、サービス等利用計画の作成や見直し(モニタリング)を通じて、生活全般の相談や福祉サービスの調整につなげやすくなります。

また、A型事業所のスタッフにも生活の変化を共有しておくと、仕事面での配慮や相談につながりやすくなります。さらに、市区町村の障がい福祉担当窓口とのつながりを保っておくことも重要です。

なお、ケースワーカーは主に生活保護を利用している場合に福祉事務所で関わる担当者なので、誰にでも必ず付く担当者ではありません。

  • 相談支援事業所:生活設計や福祉サービス利用の調整について相談しやすい窓口です。
  • A型事業所の担当:仕事と生活の両立、体調変化の共有先として身近な相談先になります。
  • 市区町村の障がい福祉担当窓口・基幹相談支援センター:制度の案内や地域の支援機関との連携について相談できます。
  • 保健所・保健センター・精神保健福祉センター・通院先:心身の不調を早めに相談し、必要な支援や医療につなげることができます。

また、地域活動支援センターなど、気軽に立ち寄れる場を見つけておくのもおすすめです。自治体によって名称や実施体制は異なりますが、同じような悩みを持つ人とつながれる場があると、ひとり暮らしの孤独感がやわらぐことがあります。

自立とは「何でも自分で行うこと」ではなく「必要な助けを自分で呼べること」です。多くの社会資源を味方につけることで、A型事業所で働きながら、あなたらしいひとり暮らしを無理なく続けやすくなります。

まとめ

A型事業所で働きながらのひとり暮らしは、まず賃金と障害年金などの収入を分けて把握し、年金で固定費をまかなえるかを確認することから始まります。

自治体の家賃補助や各種減免制度を調べて住居費を抑え、家計簿で固定費と変動費を管理し、先取り貯金で急な出費に備えることが大切です。さらに、相談支援事業所やA型事業所、自治体窓口とのつながりを持つことで、無理なく安心して自立生活を続けやすくなります。

あとがき

ひとり暮らしという大きな一歩を踏み出そうとするあなたの勇気は、とても素晴らしいものです。最初は慣れない家計管理や家事に戸惑うこともあるかもしれませんが、失敗を恐れる必要はありません。

少しずつ自分に合ったやり方を見つけ、心地よい居場所を育てていく過程そのものが、あなたの自信に繋がっていくはずです。自由で安らげる新しい生活が、笑顔の絶えない毎日になるよう心から応援しています。

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