春の朝がつらい理由|A型事業所の通所を楽にする60点の考え方

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春先は、「朝起きられない」「仕事に行きたくない」と感じやすい季節です。A型事業所に通う方にとって、環境の変化や寒暖差は大きな負担になります。こうした不調はやる気ではなく、自律神経の乱れによる自然な反応です。無理に頑張りすぎず、肩の力を抜くことが大切です。本記事では、春の不調の仕組みと「60点合格」の考え方、朝を楽にするヒントをお伝えします。

春の不調はやる気のせい?自律神経と環境が与える影響

春先に体がだるい、やる気が出ないと感じるのは自律神経の乱れが大きな要因です。春は気温の変化が激しく、体がその変化に対応しようとして多くのエネルギーを消費します。これにより、疲れが取れにくくなったり、朝の目覚めが悪くなったりするのです。

特に就労継続支援A型事業所に通う皆さんは、年度の切り替わりによる環境の変化にも敏感かもしれません。これは心の弱さではなく、生物として備わっている防衛反応の一つです。「頑張れない自分」を責める必要はありません。

  • 激しい寒暖差:体温調節のために自律神経が過剰に働き、疲労が蓄積します。
  • 環境の変化:新しいスタッフや利用者との関わりなど、無意識に緊張が続きます。
  • 光の量:日が長くなることで睡眠のリズムが崩れやすくなる時期でもあります。

まずは、今の「動けない状態」をそのまま受け入れてみましょう。原因が自分の心構えではなく、季節のせいだと理解するだけで、少しだけ気持ちが軽くなるはずです。

また、この時期は心身ともにエネルギーが枯渇しやすいため、無理に活動量を増やそうとせず、意識的に休養の時間を増やすことが回復への近道となります。自分のリズムを大切にし、焦らず春の嵐が過ぎるのを待ちましょう。

真面目な人ほど注意!陥りやすい「春の完璧主義」という罠

A型事業所に通う方の中には、非常に真面目で責任感が強い方が多くいらっしゃいます。「休まず通わなければならない」「納期を守らなければ」と自分を律する姿勢は素晴らしいものですが、春の不調時にはその真面目さが自分を苦しめる刃になります。

「100点満点でなければならない」という考え方は、心に大きな負荷をかけます。特に体調が万全ではない春先に、高い目標を掲げ続けると、いつか糸が切れたように動けなくなってしまうリスクがあります。これを「春の罠」と呼びます。

完璧主義と「60点」思考の比較
考え方の癖 100点(完璧主義) 60点(春の推奨)
通所について 絶対に遅刻せず毎日行く とりあえず現地へ行く
仕事の成果 ミスなく完璧に仕上げる 基本を押さえて完了させる
体調管理 不調を感じてはいけない 疲れたら早めに休む

この時期に大切なのは「60点合格」という考え方です。まずは事業所のタイムカードを押せたらOK、椅子に座れたらOKと、合格の基準を思い切り下げてみてください。

自分を許すことで、張り詰めた心の緊張が和らぎ、結果的にエネルギーを温存しながら安定した通所を維持しやすくなります。完璧を目指さず、まずは「その場にいる自分」を褒めてあげましょう。

朝の「ツライ」を分解!布団から出るための具体的なステップ

朝起きた時の「つらさ」は、漠然とした大きな塊のように感じられ、絶望的な気分になることがあります。そんな時は、そのつらさを小さなステップに分解してみましょう。一度に「着替えて家を出る」までを考えないことがコツです。

まずは「目を開けるだけ」「布団の中で指先を動かすだけ」という、最小単位の行動から始めます。脳は小さな行動を達成することで、次の行動へのハードルを下げてくれる仕組みを持っています。

  • 光を浴びる:カーテンを10センチ開けるだけで、脳に朝が来たことを伝えます。
  • 水分を摂る:枕元に飲み物を置いておき、寝たまま一口飲むだけで体が目覚めます。
  • 温度調節:寒いと布団から出られません。タイマーで部屋を温めておきましょう。

~睡眠習慣と生活習慣病
慢性的な睡眠不足は、眠気や意欲低下、記憶力減退など精神機能の低下を引き起こすだけではなく、ホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼします。一例を挙げれば、健康な人でも、十分に眠った日に比較して、睡眠不足が数日続いただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリンの分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。また、膵臓から分泌されるインスリンの作用が現れにくくなり(インスリン抵抗性)、同じ食事をしても血糖が高くなることも明らかになっています。さらに、睡眠不足時には本来であれば夜間に低下する血圧が高止まりするなど循環器系の機能も変化します。実際に慢性的な睡眠不足状態にある人は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクが高く、さらに狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの深刻な冠動脈疾患に罹りやすいことが明らかになっています。

厚生労働省

「布団から出る」という大きな壁に挑むのではなく、小さな「できた」を積み重ねることです。春の朝は、自分に優しく段階を踏んでいきましょう。

たとえ二度寝をしてしまっても、「一度は目が開いた」という事実を肯定的に捉えることが大切です。無理にエンジンを全開にしようとせず、スローステップで少しずつ心と体を現実に馴染ませることから始めてみませんか。

A型事業所スタッフへの「頼り方」|一人で抱えない通所の知恵

A型事業所は、一般企業とは異なり、利用者が安定して働けるよう支援員やサービス管理責任者が配置されています。つらい時に「助けてください」と言うことは、甘えではなく立派な「スキルの発揮」です。

スタッフは、あなたが不調を隠して無理をして、最終的に通えなくなることを最も心配しています。早い段階で「最近、春のせいか朝がつらいです」と共有することで、作業内容の調整や休憩時間の相談が可能になります。

  • 現状を伝える:具体的でなくて構いません。「心が重い」といった感覚的な言葉でOK。
  • 相談の時間をとる:面談を希望し、今の通所頻度が適切か一緒に考えてもらいましょう。
  • 周りの利用者を見る:意外と他の人も「つらい」と感じています。一人ではないと知ってください。

自分一人で解決しようとせず、支援の網を最大限に活用しましょう。スタッフに頼ることで、自分では気づかなかった「楽になる方法」が見つかるかもしれません。

今後の期待と課題|「止まらないこと」より「戻れること」を大切に

春を乗り越えた先には、また安定した時期が必ずやってきます。大切なのは、不調の波に飲み込まれて完全に辞めてしまうのではなく、細く長く続けることです。休んでしまった日があっても、それは「失敗」ではありません。

A型事業所での活動はステップアップのための練習の場でもあります。自分の不調に気づき、適切に対処できたという経験は、将来、一般就労を目指す際にも大きな武器になります。自分をいたわる方法を学ぶ機会だと捉えてみましょう。

~就労支援A型とは
就労継続支援A型とは、障害や難病などが理由で、一般企業で働くことに不安や難しさのある方を対象とした障害福祉サービスです。
この制度は障害者総合支援法にもとづき、利用者が事業所で支援を受けながら働ける場所を提供することを目的としています。

A型で働くことを通じて職業スキルの向上をはかり、将来的には一般就労への移行を目指すこともできます。
この制度の主な特長は以下のとおりです。

事業所と利用者の間で雇用契約を結ぶ
最低賃金が保証される

Rodina

これからも、自分を追い込まずに「今できること」にフォーカスしていきましょう。春の嵐が過ぎ去るのを待つように、ゆったりとした気持ちで過ごせれば、きっと朝の空気も少しずつ軽くなっていくはずです。

たとえ一時的に立ち止まったとしても、再び歩き出せる力さえあれば大丈夫です。今の苦しみは、あなたが自分の限界を知り、セルフケアを習得するための大切なプロセスです。焦らず、一歩ずつ自分のペースを取り戻していきましょう。

まとめ

春の朝がつらい理由は、自律神経の乱れや環境変化によるもので、決してやる気の問題ではありません。真面目な人ほど100点を目指してしまいがちですが、この時期は「60点合格」で十分です。布団から出るのがつらい時は行動を細かく分解し、小さな「できた」を大切にしましょう。

また、A型事業所のスタッフに今の状況を素直に伝えることも重要です。一人で抱え込まず、支援を利用しながら細く長く続けることが、将来の自分を守ることに繋がります。不調は季節のせいだと割り切って、自分に優しく過ごしてください。

あとがき

今回の記事を執筆しながら、私自身も「春の不調」に悩まされた日々を思い出しました。特にA型事業所に通われる方は、日々の通所そのものが大きな挑戦であることも多いはずです。そんな皆さんに、「動けないのは意志が弱いからではなく、季節のせい」という事実を届けたいという想いでペンを走らせました。

「60点」で自分を許すことは、最初は勇気がいるかもしれません。しかし、その余白が未来の自分を救う大きな力になります。この記事が、春の重い朝を迎えるあなたの心を、ほんの少しでも軽くするきっかけになれば幸いです。焦らずゆっくりと春の光に馴染んでいきましょう。

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