ピアサポーターとは?資格の取り方と障がいを力に変える働き方

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就労継続支援A型事業所などで働く中で、「自分の経験を誰かのために活かしたい」と感じたことはありませんか?今、障がいのある当事者が同じ悩みを持つ人を支える「ピアサポーター」という存在が注目されています。近年は公的な養成研修も整い、幅広い世代が挑戦できる専門的な役割として広がっています。本記事では、ピアサポーターの役割や資格取得の方法、現場での活かし方をわかりやすく解説します。

ピアサポーターとは?同じ目線で支え合う「経験」の専門家

ピアサポーターの「ピア(Peer)」は、仲間という意味です。自らの障がいや病気の経験を持つ当事者が、その経験を活かしながら、同じような境遇にある仲間の相談を受けたり、支援につなげたりする取り組みを指します。

専門職による支援とは異なり、同じ痛みを知る仲間だからこそ共感できる「寄り添える力」が大きな強みになります。

福祉の現場では、支援員や医師には話しにくい悩みでも、ピアサポーターになら話しやすいと感じる場合があります。自分の過去の苦労や克服したプロセスが、そのまま他の誰かにとっての希望の光になることもあります。

現在の福祉現場において、当事者の視点はサービスの質を高めるうえで欠かせない要素とされています。

  • 対等な関係:教える・教えられる関係ではなく、共に歩む仲間として接します。
  • 経験の価値化:かつての「辛い経験」を、支援のための「専門的な知恵」へと変えます。
  • 安心感の提供:「自分だけではない」という実感を相手に与え、孤立を防ぎます。

この役割は、単なるボランティアに留まりません。障がい福祉サービス等の現場では、ピアスタッフとして雇用される動きも広がりつつあります。自分自身の障がいを隠すのではなく、一つのキャリアとして捉え直して働ける点も、この役割の特徴です。

ピアサポーターの資格を取るには?養成研修の仕組みとステップ

障がい福祉サービス等で報酬上の加算を算定する場面では、国の実施要綱に沿った「障がい者ピアサポート研修」の修了者を配置するなどの要件が求められます。

この研修は都道府県等が実施しており、受講条件や募集方法は自治体によって異なります。研修の対象には、ピアサポーターとして活動する当事者に加えて、事業所等で協働する職員や管理者なども含まれるため、両者が同じ研修を受講する形を採る場合があります。

研修は原則として「基礎研修」「専門研修」「フォローアップ研修」で構成されており、専門研修は基礎研修の修了後に受講します。まずはピアサポートの理念や倫理を学び、その後に具体的なコミュニケーション技術や現場での役割分担について掘り下げて学びます。

研修を修了すると、各自治体から修了証書が発行され、ピアサポーターとして活動するための確認資料として活用できます。

~ピアサポーターとは、自分も障害や病気の経験があり、その経験を活かして同じ境遇にある仲間をサポートする人のことをいいます。
当事者の経験から相談を受けて話を聞き、支援することをピアカウンセリングといいます。ピアサポーターは、指導や押しつけになっていないか、相手と対等であるという意識をもつことが大切になります。~

セラピストプラス

ピアサポート研修の構成
研修区分 主な学習内容 対象者
基礎研修 ピアサポートの理念、倫理、当事者主体の考え方 当事者および協働する職員等
専門研修 相談支援の技術、体験談の活用方法、現場での役割分担 基礎研修修了者
フォローアップ研修 実践の振り返り、課題共有、継続的な学び 基礎研修・専門研修修了者

研修の募集時期や定員、受講料の扱いは自治体によって異なるため、お住まいの地域の障がい福祉担当窓口や、現在通っている事業所のスタッフに確認すると安心です。

要件と手順を押さえて一歩踏み出すと、専門的な役割としての新しい自分に出会える可能性が広がります。

資格取得後の活躍の場は?A型事業所や地域での働き方

無事に研修を修了した後は、さまざまな場所での活躍が期待されます。特に就労継続支援B型では、研修修了者を配置して要件を満たすことで「ピアサポート実施加算」を算定できる仕組みがあります。一方で就労継続支援A型でも、研修修了者を配置する取組が評価の加点対象として扱われる運用があり、事業所側の採用ニーズが高まりやすくなります。

具体的には、新しく入ってきた利用者へのアドバイスや作業のフォロー、個別相談の実施などが主な仕事になります。

また、相談支援事業所や地域活動支援センターにおいて、相談員と一緒にプラン作成をサポートしたり、ピアサポートのグループを運営したりする役割も担えます。

単に作業を手伝うだけでなく、仲間の気持ちを代弁し、スタッフとの橋渡し役になることで、事業所全体の雰囲気をよりよく変えていく力を持っています。

  • ピア相談:同じ目線で悩みを聞き、本人が一歩踏み出すきっかけを作ります。
  • 普及啓発:自らの体験談を語ることで、障がいへの理解を広める活動を行います。
  • 多職種連携:医師や社会福祉士などに、当事者ならではの視点を伝えて共有します。

若い世代はSNSやデジタルの活用、シニア層は人生経験を活かした深い対話など、年齢に関わらず自分の強みを活かせるのがピアサポーターの魅力です。

働く時間は短時間から始められるケースも多く、自分の体調管理を優先しながら、少しずつ社会貢献の範囲を広げていけます。

寄り添える力の正体!ピアサポーターに必要な心構え

ピアサポーターにとって最も大切なのは、高いスキルよりも「寄り添える力」です。これは単に優しくすることを指しません。相手の感情に飲み込まれすぎず、適度な距離感を保ちながら「あなたの味方である」と伝え続ける力を指します。

自分の経験を語る際も、押し付けるのではなく「私にはこんなことがあったけれど、あなたはどうかな?」と選択肢を広げる姿勢が求められます。

また、自分自身の「リカバリー(回復)」の過程を見せることも重要です。完璧に治った姿を見せるのではなく、今も障がいと付き合いながら工夫して生きている姿を見せることが、相手への強力なメッセージになります。

多様な価値観が尊重される現代社会では、弱さを強みに変えていくしなやかな姿勢こそが、支援の真髄につながります。

  • 自己管理:相手を支えるためにも、まずは自分の体調と心の安定を第一にします。
  • 守秘義務:相談内容は他言せず、信頼関係を丁寧に築き上げます。
  • 限界を知る:自分だけで抱え込まず、必要に応じて専門職につなぐ勇気を持ちます。

「自分の経験なんて役に立つのだろうか」と迷う必要はありません。あなたが乗り越えてきた日常の小さな工夫こそが、誰かにとっての教科書になります。

ピアサポーターとして歩み始めることは、過去の自分を救い、これからの自分を肯定する旅でもあります。その誠実な姿勢が、誰かの心のバリアを解きほぐすはずです。

福祉の未来を作るピアサポート!自分らしく輝くために

障害者基本法では、障がいの有無にかかわらず人格と個性を尊重し、共生する社会の実現を目的として掲げています。あわせて、障がいのある人が地域で自立して暮らし、社会参加できるようにする考え方も示されています。

こうした流れの中で、厚生労働省は、利用者と同じ目線に立って相談や助言を行うピアサポートに、本人の意欲向上や地域生活の不安軽減などの効果があることを踏まえ、一定の要件のもとで加算により評価すると整理しています。制度として当事者の経験を支援に活かす枠組みが設けられることで、福祉サービスがより血の通った温かみのあるものにつながりやすくなります。

また、意思決定支援の考え方が示されるなど、本人の意思を尊重した支援が重要とされる場面も増えています。ピアサポーターは、当事者の視点を現場に届け、本人が「どう暮らしたいか」を言葉にする過程を支える存在になり得ます。

ピアサポートに関する加算では、研修修了者の配置や、職員向け研修の実施、公表などが要件として示されています。制度面でも、日常の支援に小さな「支え合い」を組み込みやすくする工夫が進められています。

もしあなたが今、就労支援の場にいるのなら、日々の作業や仲間との関わりの中で感じる「自分にできること」を大切にしてください。

あなたが乗り越えてきた「あなただけの等身大の歩み」には、同じ悩みを抱える誰かの道しるべになる力があります。自信を持って、自分らしい関わり方を探していきましょう。

最後に、ピアサポーターを目指すすべての皆さんにエールを送ります。あなたの存在そのものが、誰かにとっての勇気になります。焦らず、まずは自分を大切にすることから始めてください。

その先に、共に笑い合い、支え合える明るい未来が待っています。福祉の現場で、あなたの優しい力が必要とされる場面は確かにあります。

まとめ

ピアサポーターは、障がいや病気の経験を持つ当事者が仲間の相談を受け、支援につなげる役割で、共感し寄り添える力が強みです。国の要綱に沿う研修は基礎・専門・フォローアップで構成され、修了証書が活動の目安になります。

A型・B型事業所や地域の相談支援などで橋渡し役として働き、本人の意思決定を支えながら小さな支え合いを広げ、自己管理と守秘を守って経験をキャリアに変えていきます。

あとがき

実は、この記事を書いている記者自身も障がいと共に生きる当事者です。かつては自分の特性を「隠すべき欠点」だと考えていましたが、ピアサポーターという存在を知り、この経験が誰かの力になる「キャリア」へ変わると気づいた瞬間、武者震いのような感動で心が震えました。障がいを武器にして自分らしく働くという選択を、皆さんと一緒に考えていければ幸いです。

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