視覚障がい者のモビリティを変える次世代白杖「WeWALK」とは

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視覚障がい者に欠かせない白杖は、テクノロジーとの融合によって大きく進化しました。トルコのスタートアップが開発したスマート白杖「WeWALK(ウィーウォーク)」は、ナビや障害物検知機能を備え、安全で自立した移動を支えます。本記事では、白杖の役割とWeWALKの特長、そして開発者が描く未来を紹介します。

1. 視覚障がい者のシンボル「白杖」の役割

白杖は、視覚障がい者が携行する補助具として、自己の視覚障がいを周囲に知らせるシンボルとしての役割と、路面の情報収集と危険の検知という歩行補助具としての役割の二つを果たしています。

白杖の持つ二つの重要な役割

視覚障がい者が歩行時に携行する白杖は、その白い色と形状から、単なる歩行補助具以上の二つの重要な役割を果たしています。

一つは、自己の視覚障がいを周囲に知らせるシンボルとしての役割です。道路交通法においても、白杖を持つ人がいる場合の保護が定められており、周囲の人々に注意を促すことで、安全な歩行環境を確保する大きな意味があります。

もう一つは、路面の情報収集と危険の検知という歩行補助具としての役割です。

白杖を地面に触れさせることで、路面の段差や傾斜、点字ブロックの有無などの情報を得たり、足元の障害物や行く手を遮る壁などを事前に検知したりし、危険から身を守ります。

2. 白杖の限界を超越するハイテク「WeWALK」の概要

スマート白杖「WeWALK」は、視覚障がい者自身が開発に関わり、従来の白杖の限界を超越しました。超音波センサーにより、従来の白杖では検知できなかった頭や胸の高さにある障害物を検知し、振動で利用者に危険を伝えます。

視覚障がい者自身が開発したスマート白杖

従来の白杖の課題を解決し、視覚障がい者の移動手段であるモビリティを根本から変革することを目指して開発されたのが、スマート白杖「WeWALK」です。

開発担当者が現場のニーズや従来の白杖の限界、そして技術で補うべき点を深く理解した、真にインクルーシブな設計が実現されています。

WeWALKは、超音波を利用して白杖では確認できない頭や胸の高さにある障害物を検知し、利用者に振動で危険を伝えます。

さらに、モバイルアプリと連携することで、タッチパッドを通じたアプリ操作や、周辺施設の案内、音声アシスタントの利用が可能となり、両手を塞ぐことなく外出することができます。

このスマートデバイスには、超音波センサーモーションセンサーMEMSマイクロフォンなどの先進技術が搭載されており、従来の白杖では検知できなかったさまざまな情報を提供することが可能になりました。

これにより、視覚障がい者が抱えていた「情報不足」という課題を、テクノロジーの力で解決しようとしています。

~視覚障がい者である私にとって欠かせない白杖。
その白杖が最先端の技術とAIによって日々進化しています。白杖の意味や役割を多くの人に知っていただきたいと制定された記念日のことや、開発が進んでいる新たな白杖を紹介します。~

メノコトわかさ生活

スマートフォン連携で進化する機能

WeWALKの最大の特徴は、専用のスマートフォンアプリとBluetoothで連携し、機能が大幅に拡張される点にあります。

スマートフォンと連携することで、白杖本体が一種のコントローラーや情報端末として機能するのです。

ユーザーは、スマートフォンを取り出すことなく、WeWALKに搭載されたタッチパッドや音声認識機能を使って、道順案内や周辺情報検索などの操作を行うことができます。

これにより、片手で杖を持ち、もう一方の手でスマートフォンを操作する必要がなくなり、両手を塞がずに安全に移動できるという大きなメリットが生まれました。

また、このスマートフォン連携機能により、WeWALKの機能はソフトウェアのアップデートによって継続的に進化することが可能です。

例えば、将来的には乗り換えアプリやライドシェアアプリなど、様々なスマートシティ技術と統合し、ユーザーの利便性を高める新しい機能がインストールされることも計画されています。

WeWALKは、単なる杖ではなく、視覚障がい者の移動を支える進化し続けるスマートデバイスと言えるかもしれません。

3. WeWALKが搭載する革新的な機能とメリット

WeWALKは、従来の白杖の機能に加え、超音波センサーでユーザーの上半身の高さにある障害物(最大200cm先)を検知し、音で危険を警告することで頭部や顔面を保護します。

また、スマートフォン連携により、Googleマップと連動した高精度なAI音声ナビゲーションや周辺施設情報を提供します。

上半身の障害物を検知し振動で警告

従来の白杖が主に足元の路面状況を把握するのに対し、WeWALKが持つ最も重要な機能の一つは、超音波センサーによる上半身の障害物検知です。

このセンサーは、ユーザーの前方、最大で200cm先の上半身の高さにある障害物(たとえば、トラックの荷台、木の枝、吊り下げられた看板など)を検知することができます。

検知した際には、白杖のグリップ部分が音を出すことで、視覚障がい者に危険を知らせ、障害物を回避するように促します。この機能により、頭部や顔面を保護し、より安全に歩行することが可能となりました。

特に、都市部の複雑な環境では、足元だけでなく、頭上の障害物も事故の原因となり得るため、この立体的な障害物検知能力は、視覚障がい者の安全性を大幅に向上させます。

この音による警告システムは、聴覚情報が集中しがちな歩行時において、新しい安全情報を提供しています。

高精度なナビゲーションと周辺情報案内

WeWALKは、スマートフォンと連携することで、高精度なAI音声ナビゲーション機能を提供します。

Googleマップなどの地図アプリと連動し、目的地までの道順を音声で案内してくれるため、視覚障がい者は目的地までの経路情報を簡単に把握できます。

音声認識機能も搭載されており、ユーザーが杖に向かって行き先を話しかけるだけで、経路案内などの返答が得られます。これにより、スマートフォンを操作する手間が省け、歩行に集中できるというメリットがあります。

また、ナビゲーション機能に加えて、周辺情報サービスも提供します。最寄りのバス停や駅までの道案内、あるいは近くのカフェやレストランといった公共施設や店舗情報を音声で知らせてくれる機能もあります。

さらに、一部のモデルやサービスでは、「WeASSIST」という、スマートフォンのカメラを通じて訓練を受けた晴眼者ガイドと繋がり、リアルタイムで視覚的なサポートを受けられる機能も提供されています。

4. WeWALKの開発者が目指す未来と実現性

WeWALKは、視覚障がい当事者である開発者の「自立した生活」を可能にしたいという強い願いに基づいて開発されました。

このデバイスは、情報へのアクセスを容易にし、移動の際のストレスや不安を軽減することで、社会参加を促進します。

「自立した生活」を可能にするための開発

WeWALKの開発意図の根幹にあるのは、視覚障がいを持つ人々の「自立した生活」を可能にすることです。

開発担当者の一人であるクルサット・セイラン氏は、自身も視覚障がい者であり、従来の白杖の限界と、技術がもたらす可能性を深く理解しています。

彼女の言葉からは、「WeWALKは私に世界を変える機会を与えてくれる。視覚障がい者にとって、より平等で活動的で自立した生活を提供したい」という強い願いが伝わってきます。

このデバイスは、単に移動を補助するだけでなく、情報へのアクセスを容易にすることを目指しています。

スマートフォンと連携させることで、電車やバスの時刻、周辺の施設情報など、日常生活で不可欠な情報をスマートフォンを操作せずに得られるようにしました。

さまざまな拡張性をもつ新型

WeWALKは、将来の拡張性を視野に入れ新型のデジタル白杖「スマートケーン2」を開発しました。

そのスマートケーン2は多くのアップデートにより視覚障がい者のもっている普通の白杖に近づき、重さや長さなどが反映されています。

前機と比べると、持ち手部分はよりスリムになり、操作方法はタッチパットからボタンへ変更され、白杖の重量も軽量化されほぼ一般的な白杖と同じと主張しています。

さらに、スマートケーン2は折り畳み式で防水性があり様々な天候での使用に適しています。

また、センサーなどは「超音波センサー」「慣性測定ユニット」「パルス密度マイク」「気圧センサー」が搭載されており、使用者に多角的な外部環境を認識でき、使用者に障害物が接近すると、触覚と聴覚に危険を教えてくれます。

最後に、AIアシスタントの助けを借り音声によるナビゲーションができます。詳細な目的地だけでなく漠然とした指示もできます。

この様々な仮量を施し、WeWALKが目指すのは、「トランスフォーム・モビリティ」、つまり移動の可能性を根本から変革し、誰もが安全で自立した生活を送れるインクルーシブな社会の実現だと言えるでしょう。

まとめ

視覚障がい者のシンボルである白杖は、長らく機能に大きな変化がありませんでしたが、トルコのスタートアップが開発したスマート白杖「WeWALK」により、その役割が大きく拡張されました。

WeWALKは、視覚障がいを持つ開発者のニーズに基づいて設計され、超音波センサーによる上半身の障害物検知や、スマートフォン連携による高精度なAI音声ナビゲーションなど、従来の白杖では不可能だった情報を提供します。

このデバイスは、視覚障がい者の自立した生活と社会参加を促進することを目的とし、将来的にはスマートシティ技術との統合も目指されています。

あとがき

ここまで読んでくださりありがとうございます。私は白杖の進化には驚きと希望を感じます。この情報が、アクセシビリティ技術への関心を深めるきっかけになれば幸いです。

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