没入型瞑想XR「ZENBU KOKO」が実現する集中力向上の新境地

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瞑想は、静かに自分と向き合う古来の知恵です。現代社会の喧騒で静寂を得るのは容易ではありませんが、この課題に対し、最先端のXR技術と建築美が融合した没入体験型瞑想プラットフォーム「ZENBU KOKO」が応えます。このシステムは、視覚、聴覚、触覚、温覚といった身体感覚全てを動員し、参加者を瞬時に雄大な自然へと誘います。単なるリラクゼーションを超え、集中力や心の状態を客観的に見つめ直すことを可能にする「ZENBU KOKO」は、世界的な瞑想ブームを加速させる技術的な架け橋として注目されています。

没入体験型“瞑想”プラットフォーム「ZENBU KOKO」とは

「ZENBU KOKO」は、心を静め、自分自身と深く向き合う「瞑想」の時間を、最先端の技術と融合させることで誕生した、かつてない没入型瞑想XRプラットフォームです。

このプラットフォームの核心にあるのは、参加者を視覚や聴覚といった主要な感覚情報だけでなく、体に伝わる熱や振動を通じて、完全に仮想の自然環境に引き込む能力です。

スイスの「All Here」が主催し、世界で初めて公開されたこのシステムは、従来の瞑想の概念を根本から覆し、新しい時代における精神的なウェルビーイングの形を提案しています。

今回、体験された方の体験時間は約20分で、この短い時間で深い集中状態と内省を促す設計がされています。

建築家・隈研吾氏が設計に参画

没入型瞑想XRプラットフォーム「Zenbu Koko(ぜんぶここ)」の設計には、世界的建築家・隈研吾氏が関わっています。

隈氏は「建築空間と自然を滑らかに結びつけたい」という思いを以前から抱いており、その理念がエルキン代表の考えと一致したことが、本プロジェクト参加のきっかけとなりました。

初めてXR分野に挑戦した隈氏は、「人・自然・技術をひとつに結び、柔らかい空間と、人間らしい内面的な世界へと没入できる体験を生み出したい」との考えから、木材を用いてカプセルを制作しました。

この空間は、視覚的な演出にとどまらず、五感で空間を感じることを目的としています。粒子をモチーフにしたデザインの中で、参加者は漂う粒子に包まれながら意識を解放することができます。

また、足元に設置された石に足を置くと、振動や温度が伝わるように設計されており、五感のすべてを通して瞑想体験に没入できる構造になっています。

隈氏は「Zenbu Kokoでは、自分の意識を外側に置き、外から自分を見つめるという新しい体験ができる点が非常に魅力的だ」と語り、来場者を惹きつけました。

さらに現在、インドでは2028年の完成を目指し、メディテーション施設「Sarvatr(サルヴァトル)」の建築が進行中です。隈氏にとって初めてのインド建築であり、現地の素材を活かしながら、その土地の自然環境に溶け込むデザインを追求しています。

従来の瞑想との決定的な違い:「見えない効果」を「可視化」へ

従来の瞑想が抱えていた大きな課題の一つは、その効果を実感し、継続する難しさにありました。

一般的に、効果が見えるまでに時間がかかり、集中力が持続しているのかどうかを自分自身で客観的に判断することが困難でした。また、特定の場所や静寂な環境に依存する側面もあります。

これに対し「ZENBU KOKO」は、瞑想の成果をリアルタイムで数値として可視化することで、この「見えない効果」の壁を破ります。

エルキン・ベック代表が述べるように、「今までは結果が見えるまでに時間がかかったが、リアルタイムでその結果を見ることができる」点こそが、最も明確な違いです。

これにより、体験者は自分の心の状態を瞬時に把握し、瞑想への理解を深めることができるのです。

環境依存からの脱却と効率的な内省

さらに、場所を選ばずに究極の没入環境を創出できる点も、従来との大きな違いです。都会の喧騒から離れなくても、ドーム型のプラットフォーム内に入るだけで、瞬時にたき火や川の流れといった自然の情景に包まれます。

これは、環境に左右されない、極めて効率的で質の高い瞑想体験を可能にするものです。

また、従来の瞑想が感覚を閉じることを重視したのに対し、「ZENBU KOKO」は五感を刺激しつつ、外部のノイズを完全にシャットアウトすることで、より深い没入感と集中状態を生み出します。

このアプローチは、瞑想初心者や、長時間の静坐が難しい現代人にとって、特に効果的であると言えるでしょう。

五感を刺激し尽くす革新的な没入体験

「ZENBU KOKO」が提供する没入体験では、視覚と聴覚に依存する従来のVR体験では得られない深い没入感が得られます。

このプラットフォームの真骨頂は、五感を駆使し、身体全体で仮想環境を感じ取れる点です。

体験は「これから一緒に瞑想の旅へ行きましょう」というアナウンスと共に、穏やかにスタートします。

参加者がドーム内に座ると、まず足元が細かく揺れ始め、微細な振動を感じます。これは、意識を身体へと向けるための重要な導入部となります。

その後、パネルが開いていくような演出で、目の前に雄大な自然が展開し、たき火や川の情景が現れます。

極めつけは、映像と連動して動く足元の装置です。石に見立てられたこの装置は、映像に合わせて振動し、場合によっては冷たさや温かさといった温度変化を伝えます。

例えば、目の前に川が現れた際には足元が冷たくなってくるのを感じるのです。これにより、目や耳の感覚だけでなく、触覚や温覚という身体感覚すべてを通じて、その世界に入り込むことができる仕組みになっています。

リアルタイムフィードバックと客観的な自己内省

「ZENBU KOKO」の体験のハイライトの一つは、客観的な自己内省を促す機能です。体験中にカメラが作動し、自分自身を俯瞰(ふかん)的に見る映像に切り替わる瞬間があります。

この「自分から離れた位置で自分を見つめ直す」という視点は、深い瞑想状態において得られる「気づき」を、技術的にサポートするものです。

自分を外側から観察する時間は、普段意識しない自身の姿勢や呼吸、心の動きを客観視することを可能にし、瞑想の質を向上させる可能性があります。

マインドスポーツへの発展という未来

「All Here」が目指すのは、瞑想の可視化を通じて、将来的にこれをマインドスポーツとして発展させることです。

これは、集中力や精神的な安定性を数値化し、訓練や競争の対象とすることで、瞑想の裾野を広げようという野心的な試みです。

世界的な瞑想ブームと市場規模の拡大

「ZENBU KOKO」の世界初公開は、世界的な瞑想ブームの中で行われました。瞑想の世界市場規模は今後も拡大が見込まれ、2032年には瞑想関連アプリだけで55億米ドルの市場規模に達すると予想されるなど、その成長には著しいものがあります。

デジタル化によるストレスや心の健康への関心の高まりが、このブームを牽引しているかもしれません。「ZENBU KOKO」のような没入体験型プラットフォームは、その体験をさらに深化させます。

特に、「楽しみながら集中力向上へ」というアプローチは、従来の「修行」的なイメージを覆し、若年層やテクノロジーに慣れた層など、新たなユーザー層を取り込む可能性を秘めています。

技術革新がもたらす心のウェルビーイング

この技術的な進歩は、心の健康維持のためのツールが、単なるリラクゼーションから、効率的な自己改善ツールへと進化していることを示しています。

市場の拡大は、人々のウェルビーイングへの意識の高まりと、技術革新の相乗効果によって、今後も続く可能性があります。

禅や瞑想といった古来からの知恵が、最先端テクノロジーによって現代に最適化された形と言えるでしょう。

まとめ

没入体験型“瞑想”プラットフォーム「ZENBU KOKO」は、最先端のXR技術と建築家隈研吾氏の設計を融合し、従来の瞑想の課題だった「効果の非可視性」を克服しました。

五感を刺激する没入体験とリアルタイムでの心の状態の可視化により、参加者は集中力を客観的に見つめ直すことができます。

「ZENBU KOKO」は、瞑想をマインドスポーツとして発展させることも目指しており、この技術的な架け橋が、世界的な瞑想ブームを加速させ、人々の集中力向上をサポートすることが期待されます。

あとがき

没入型瞑想XRプラットフォーム「ZENBU KOKO」は、記事を書きながらも、その発想の斬新さに個人的に非常に驚かされました。

特に、五感すべてで空間を感じる設計や、自分の意識を外から見つめるという仕組みは、まさに画期的だと感じています。

この技術が現代人の抱えるストレスや集中力の課題に対し、これまでにないほど人間的で、そして効果的な解決策をもたらすことに、心から期待を寄せています。未来のウェルビーイングを大きく変えるであろうこの試みに、ぜひご注目ください。

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